とある方より修理依頼。症状は、選曲つまみを回しても選曲の針が動かないとの事。選曲自体は正常なので、糸かけかベルトが外れているっぽい。
このラジオ、2009/07/21に発売されたものだが、青森県にある十和田オーディオのOEM製品らしい。
汚れは相当な物で、飲食店舗でずっと使わてれいたので無理もないだろう。
中身を分解。中身は外見とは裏腹に異例な面立ち。
早速故障個所の表示針部分を調べる。ドライヤーで温めながら表示板を剥がすと、
ああ、やっぱりベルトが外れていた。そのままひっかければ治るかなと思ったが、
プーリーが劣化して割れており、それが原因で軸が斜めになって外れてしまった様だ。そのまま組み立ててもまたベルトが外れてしまうだろう。かといってこういう部品は手に入らない。
色々と方法を考えてあげく、外れたプーリーをホットボンドで固定してしまって、グリスでベルトを滑らせる方法に至る。
軸を垂直にしたので外れることはないだろう。
一方、筐体については相当頑固な汚れがこびりついていたので、樹脂を全部マジックリンで洗浄。
数十分もすれば汚れが浮き上がってくる。
ツマミなどの凹凸のある部品は、超音波洗浄機と中性洗剤で洗浄。思った以上にきれいになる。
電池ボックスのウレタンはボロボロなので、隙間テープを薄く切って張り付け。
取り出した回路。電源と本体の2枚構成の基板。
アナログラジオの進化の最終形態を見ている気がする。ここまでヘテロダイン回路が簡略されるのか。
スピーカーアンプ。
半日でオーバーホールが終了。
感度は良いし、なによりも音がいい。依頼主より、このラジオは思い入れがあるラジオなので、店舗用には別のラジオを用意し、これは自宅で使い続けるそうだ。
お金で買えないものというのはあるんだなと思った。
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